アンジュルムの舞台、演劇女子部「夢見るテレビジョン」を見に行ったよ(ネタバレはします)
このブログを書く前に「プラダを着た悪魔」を見ようと思ったのにNETFLIX先生お持ちじゃないのね。
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演劇女子部「夢見るテレビジョン」見てきました。
『全労済ホール/スペース・ゼロ提携公演 演劇女子部「夢見るテレビジョン」』
http://www.helloproject.com/event/detail/75d0f66fa38defaf4254079a0a5cf24cb10dee36/
感想のブログ。
積極的にネタバレを書くわけじゃないけど、内容にはべたべた触れるからネタバレはある。
スペースゼロに行ける人は行ってね。
(追記 : 終わりました。)
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面白い。
かなり良かったんじゃないかな、と思う。
――テレビのことを何も知らない素人の女の子が、自分を強引に引き入れた圧倒的な力を持つ横暴な女プロデューサーのもとで、酷な仕打ちと戦いながら、優れた感性を発揮して、テレビマンとして成長する物語。
ある。
このストーリーはすでにある。
あるんだけど、悪くない。正しいストーリーだから。
先に気になったことから言うと、池神のキャラクターが花子の対立する役として立ち上がるのが、少し遅い気がする。
それを踏まえてから見た2回目の観劇は、すごくすんなり物語が入ってきた。
もっと序盤から、横暴で、情け容赦なくて、無茶難題をふっかけてくるような池神が見えてたら良かったなと思う。
序盤の横暴力が足りない。
朝まで電話待てって言われてもそのくらいやるし、企画書持ってきて「前代未聞の・・・」「コントを超えたコント・・・」なんて企画の説明されたらそら破る(破らない)。
1ヶ月で3人も辞めたというADたちがどうして辞めたのか。
その辺でとみ恵が鬼と呼ばれる所以をもっと伝えてくれても良かったかな、と。
求む無茶難題。
話はもどって。
ストーリーの骨子は解かりやすくて、キャラクターの置かれ方も解かりやすい。
業界用語を使うザ・ディレクター(かななん)、主人公を認め味方をしてくれる制作部長(かつたさん)、気むずかしい大物役者(莉佳子)と、プロ意識を問う売れっ子歌手(むろ)。
主人公が成長するための道筋がある。
下っ端の放送作家(ふなき)、若手のメイクさん(かっさー)、役者を夢見る付き人(かわむー)。
主人公と一緒に夢を目指すメンバー。
スポンサーの社長(まあさ)と代理店社員(タケ)、作家の明智先生(なっきぃ)は、展開のためのキャラクターって位置づけで、外様感があって、扱いとしてはちょっと気の毒。
必要ではあるんだろうけど、ただ明智先生はちょっと便利すぎるな。主人公を立ち直らせる役目が突然そこいくのかって言う。
池神の過去を語る役目も含めて、青梅ディレクターあたりでなんとか・・・ならないか。早乙女部長に頼もう。彼ならやってくれる。
真っ当なストーリーを好きなメンバーがやってるってだけで易々嬉しいんだけど、さらにこの作品を彩った特筆ポイントを2つ。
1.スーパーヒロイン・上國料萌衣
2.クライマックスの生放送パートの脚本
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今後ことあるごとに言ってやろうと思うんです。
「こっちにはかみこがいるんだぞ」って。
上國料ヒロイン萌衣。
約束された勝利のヒロイン。
アイドルがステージで放つきらめきとはまた別の、ヒロインとして収まり方。
ヒロインなシーンを上げてくとまじでキリがない。
「MODE」の頃より歌声も強くなって、加入当初は苦手そうだったリズムも安定して、モノローグにも説得力があって。
「このドキドキはなんだろう」って台詞をあんなにキラキラ言えるのはかみこだけだよ・・・。
好きな台詞は「ノットオーライ」。
好きな動きは暗中模索、手探り状態の時の平泳ぎ。
かみこで2000字書けちゃうから次。
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クライマックスの脚本。
総キャスト14人。
最後の最後にその人数をごそっと巻き込んで、ごちゃまぜの手札を理想ムーブのように切りながら、どんどん笑いを盛り上げて収束させる、見事な脚本だった。
うわープロの仕事だー、と思った。
思えば「MODE」の中盤、相川さん大活躍パートの脚本も素晴らしかったけど、今回はそれがクライマックスにあって、満足感をもって気持ちよく会場を出られる。風が気持ちいい。太陽がまぶしい。行った日は雨でした。
すごく良いシーンだった。
あそこでも外野的立ち位置になっちゃう社長と代理店社員。気の毒なとこある。
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その他、細かいこと。
★自分がこの舞台で好きなシーンは、前述した生放送パートともう一つ。
明智先生の台本を読んだ花子が、「控えめに言って 金槌で頭を殴られた ピストルで胸を撃ち抜かれた 控えめに言って くるくると回る万華鏡 宇宙が始まるビッグバン」と歌って踊るシーン。
近づくたびにワクワクした。
何が最高って、ここすごく映画的。
花子の爆発する感情に、出演者みんなが踊り出す。台に乗った花子が気持ちよく歌い上げながら運ばれる。
まぶしさに眩んだ目に、スクリーンに映し出されたミュージカルが見えた。
イメージしたのは、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のセルマが、働く工場の機械音を音楽にして踊り出すシーン。
例えに出した映画がわるいのは認める。
これね。
★「女性」ではなく「プロ」を焦点にしてるところが見やすい。
前回の作品「MODE」では、女性に対する社会の冷遇が中心で、それに立ち向かう女たちという物語だった。
その潰され方は理不尽で、現代の感覚で見ているとどうにも共感が出来るポイントがなかった。
今回は女性への差別は控えめに、プロとしての在り方を問題としていた。
特にむろが演じる月丘万寿美が説くプロ意識は、主人公の成長を促す。
橋場剣一郎を怒らせてしまい、収録が遅れてしまった時。
剣一郎さんが悪いと言うみちるを制して、月丘は「あなたが1000%悪い」と言う。
そして、「コントの代わりに歌を歌ってくれませんか?」と言ってきた花子に対して、「私の歌をなんだと思ってるの」と怒る。
その後、橋場剣一郎に土下座をして、「男がこだわるようなプライドならいくらでも捨てます。目的のためならなんでもやる。それが私の、女のプライドです」と言った花子を、初めて「花子ディレクター」と呼び、花子のために歌を歌う。
良い展開だなー。
剣一郎と月丘さんに認められた花子と、舞台袖ではなくステージを降りて去って行く池神。
自分とは違う戦い方をする新風に追いやられる、世代交代がなるほど表現されてるなと思った。
★すごく印象的だった台詞。
花子「どうして夢を語っちゃいけないんですか。」
とみ恵「私たちは遊びでやってるわけじゃないから。」
花子「遊びじゃないから守りに入るんですか。仕事だから挑戦しないんですか。」
前作「MODE」にも通じる良い台詞だ・・・と思いながら、観劇後におたく2人とこの話をしたところ、
「「アップフロントに言ってやりたい」」って2人揃って言ってた。おおう、ってなった。
とみ恵の「いつまでも今の人気にあぐらをかいてたら、あっという間に消えるわよ」って台詞もお届けしよう。
★ある人?
花子の病室に訪れた早乙女部長が、「ある人に言われたよ。花子くんにもチャンスをやったらどうか。もっと冒険しても良いんじゃないかって」と言うシーンがある。
ある人とは誰か。
このシーンの直後、唐突に明智先生と早乙女部長の、
明智先生「花子ってADさんどうなりました?」
早乙女部長「ええ。無事、今日から復帰します」
明智先生「ディレクターの件も?」
早乙女部長「ええ。すごく張り切ってます」
といった答え合わせみたいな会話シーンが差し込まれること、どう考えても他に該当者がいないことを考えると、やっぱ明智先生かな。
★小ネタ
他の作品を引用した小ネタがあったので、いちおう書いとく。
○タケちゃん演じる佐山宋太郎は、「MODE」に登場するカメラマン・佐山考太郎(タケちゃん)の双子の兄。
○ザ・カシューナッツを見ながら、「あれ? カシューナッツってもっと可愛くなかったっけ」って言う、元ザ・カシューナッツの船木結(「気絶するほど愛してる!」)
もう一個くらいあった気がするけど忘れた。
★回替わりをメモする
○青梅Dから花子への指示。
10/7 1公演目「ピンチ10個準備しといて」。ピンチ(危機)を数えて上げ出す花子。
10/7 2公演目「トラばらしといて」。四つん這いになってガオーっと吠え、長介に見られて「あっ、バレた」と言う花子。
10/8 1公演目「あそこ危ないから、なぐりで殺しといて」。パンチをぐるんぐるん振り回して走る花子。
10/8 2公演目「余った消え物持ち帰っとけ」。うらめしやのポーズでさまよって「余ってまーす」と言う花子。
10/14 1公演目 「ネコ盗んどいて」。ほっかむりを被る仕草をして、忍び足で歩いてニャーと鳴く。
10/14 2公演目 「ゲーマンとっぱらいで払っといて」。ぽちぽちゲームをやってから、「とっぱらい!」で投げ捨てる。
10/15 1公演目「お皿金魚鉢に入れといて」「お皿を金魚鉢・・・? お皿を金魚鉢。おっさっらを金魚鉢! おっさっらを金魚鉢!(左から右へお皿を入れる動き)」
○見つかったみちる、去る早乙女部長
10/6 「チンチロリーン」「あれ松虫が 鳴いている ちんちろ ちんちろ ちんちろりん」「その松虫がオレです」
10/7 1公演目「ゲロゲロゲロゲログワッグワッグワッ」「かえるのうたが 聞こえてくるよ」「そのかえるがオレです」
10/7 2公演目「ミーンミンミン」「閑けさや 岩にしみ入る 蝉の声」「その蝉がオレです」
10/8 1公演目「ぽっぽっぽ」「鳩ぽっぽ 豆が欲しいかそらやるぞ(客席に適当に蒔く素振り)」「その鳩がオレです」
10/8 2公演目「ゲコゲコバッチャーン」「古池や・・・(おそらく台詞が飛んだかつたさん)」「その蛙(かわず)がオレです」
10/14 1公演目 「ゲコ、ゲコゲコバッチャーン…」「古池や 蛙飛び込む 水の音」「その蛙がオレです」
10/14 2公演目 「ニャンニャンニャニャーン」「迷子の迷子の子猫ちゃん」「その子猫がオレです」
10/15 1公演目「フォッフォッフォ」「え、バルタン星人? そうだ、ウルトラマンを呼ぼう!(こぶしを突き上げる)」「そのバルタン星人がオレです」
○ご機嫌な早乙女部長の台詞
「災い転じて福と為すだ。――――。いや、これは意味違うか・・・」
10/6 「七転び八起き」
10/7 1公演目「大器晩成」
10/7 2公演目「出過ぎた杭は打たれない」
10/8 1公演目「天真爛漫」
10/8 2公演目「ドンデンガエシ」
ドンデンガエシは合ってるんじゃないかな、って思った。
10/14 1公演目 「大器晩成」
10/14 2公演目 「七転び八起き」
10/15 1公演目「臥薪嘗胆」
メンバー全員に触れると文字数が多くなりすぎるので、少しだけ。
★佐々木莉佳子さん(橋場剣一郎)
かなーりカッコ良かった。表情、視線。気むずかしい大物役者の存在感。莉佳子には大スターの説得力がある。今後の舞台で当たり役が来たら、それこそその筋のファンをごっそり持って行きそうな気がした。ファルスの話をしているよ。
★勝田里奈さん(早乙女邦彦)
かつたさんはずるい。
クールで綺麗で可愛いのに、面白いことをやらせても上手い。
かつたさんが持つオンリーワンのマイペース(のんびりではない)な雰囲気が、早乙女部長の優しさや穏やかさに繋がって、とても良い役になっていた。
すごく偉いのに、面倒ごと回ってきがちで胃を痛めてるところも愛らしいし、
逆に時折見せる制作部長としての姿もグッとくる。
★和田彩花さん(池神とみ恵)
主人公の敵となる彼女が、最後まで敵であり、最後まで甘くはないこと。最後まで味方にはならないこと。何を考え何を実行しているのか。謎の多い底知れなさが良かった。あれで認められてしまってはダメなんだよ。
もし本当に生放送が失敗していたら、放送事故になっていたら(まあなったんだけど)、池神は言葉通り花子を切ったんじゃないかな。でも花子はそれに仕事で応えた。だから認めた。情ではなく結果で評価する。
情を隠してこそプロ。
さりとてだからこそ、最後のシーンは好きだぞ。
ラストシーン。
かみこのあの笑顔を見てときめかない人はいるのかいやいない。
ああ言う終わり方、単純に好き。
画像入れて終わります。
かみこ、君がヒロイン。
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